1. 駐在員の英語力はどれぐらい必要?駐在時の注意点と勉強法も解説

駐在員の英語力はどれぐらい必要?駐在時の注意点と勉強法も解説

2024.03.13

駐在員の英語コミュニケーション力は、赴任先やポジションによっては高いレベルが求められます。求められる英語コミュニケーション力や駐在時の注意点を解説します。

駐在員の英語力はどれぐらい必要?駐在時の注意点と勉強法も解説

海外で働く駐在員は、赴任する国・地域や業種・職種などによって、非常に高いレベルのビジネス英語力が必要となります。英語に自信がない人が海外駐在することになった場合、ビジネス英語をある程度できるようにしないと、さまざまなリスクに見舞われるので注意が必要です。
この記事では、駐在員に求められる英語力とコミュニケーションスキルを併せた「英語コミュニケーション力」や駐在時の英語に関する注意点のほか、駐在前の英語の勉強法などについて解説します。

海外駐在とは海外の国・地域で一定期間働くこと

「駐在」とは、一定の場所に長い期間、とどまることを意味します。つまり「海外駐在」とは、日本から海外の国や地域にある支社・支店や現地法人などへ転勤し、その場所を拠点に数年~十年以上働くことを指しています。駐在期間は平均で3~5年です。海外駐在する従業員を「海外駐在員」(以下、駐在員)と呼ぶのです。

海外駐在の目的はさまざまです。グローバルプロジェクトにアサインされたことや、管理職に昇進して海外支社に赴任することもあります。
また、将来の現地マネージャー候補として送り出される若手もいれば、グローバル本社への栄転というパターンもあるでしょう。これらの目的に合わせた準備は、海外駐在を成功に導くためには不可欠です。

なお、海外で働くことを「海外赴任」と表現する場合もありますが、基本的に海外駐在と同じ意味で使われています。

駐在員に求められる英語コミュニケーション力

駐在員の英語コミュニケーション力には、非常に高いレベルが求められます。一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が2019年に公表した「英語活用実態調査 企業・団体 ビジネスパーソン 2019」では、企業や団体が海外赴任者選抜において要件として求めるTOEIC Listening & Readingスコアを、平均635としています。
同様に海外部門の従業員に期待するスコアは、TOEIC Listening & Readingスコアで平均690、SpeakingとWritingそれぞれ平均140でした。注意したいのは、これでもTOEICによると「限定された範囲で業務上のコミュニケーションができる」レベルだということです。

海外駐在においてビジネスコミュニケーションをスムーズに行おうとすると、TOEICが定義する「Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる」レベルに該当します。これは、TOEIC Listening & Readingスコアで860以上です。
ただし、TOEICのスコアはあくまで目安です。また、グローバルビジネスにおいては英語力だけでなく、文化・慣習の違いも理解した上でコミュニケーションを図る必要があります。

非英語圏でもビジネスにおいては英語を使う

駐在先は、英語を公用語とするアメリカやイギリスなどとは限りません。非英語圏でも、ビジネスにおいては英語を用いてコミュニケーションを行います。

ただし、駐在先によって求められる英語力のレベルが異なる場合があります。非英語圏の中でシンガポール、フィリピンのような英語を公用語のひとつとするアジア諸国では、TOEICでいえば730以上のスコアが必要です。
一方で、ベトナムやインドネシア、中国などの非英語圏では、それほどのスコアは必要ではないとされています。それでも、駐在員としてビジネスをするには、TOEICスコア600以上は必要でしょう。

業種・職種や役職などによっても必要な英語力は変わる

駐在員として赴任した際、どのような業種・職種なのかによって求められる英語力は変わってきます。具体的には、専門性の高い業種・職種の場合、専門的な用語や話題について、英語で話せるようにしておかなければなりません。管理職や現地スタッフを統括する立場であれば、さまざまな母国語を持つ人の英語を理解できるようにする必要があります。

さらに、駐在先の取引相手が日系企業なのか、あるいは現地企業なのかによっても、求められる英語力は大きく異なります。後者の場合、高い英語力を求められるのは言うまでもありません。

駐在員の英語コミュニケーション力に関する注意点

駐在員が十分な英語力を持っていない場合、どのようなことが起きるのでしょうか。ここでは、駐在員の英語力に関する注意点について解説します。

英語でコミュニケーションが取れないとビジネスが進められなくなる

英語圏・非英語圏を問わず、海外駐在において、英語力は基本的なスキルです。ある程度以上の英語によるコミュニケーションができなければ、海外でビジネスをすることは難しいと考えたほうがいいでしょう。

駐在員は現地における会社の代表なのだから、会社に通訳をつけてもらってビジネス上の会話をすればいいと考える人もいるかもしれません。

しかし、駐在先や業種・規模によっては、常に通訳が同行しない場合もあります。また、突発的なミーティングやトラブルが発生した際に、通訳を手配することが難しいケースも。さらに、相手との会話がすべて通訳頼みになると、通訳のビジネス英語力が低かった場合、相手との十分な意思疎通が図れないというデメリットも考えられます。場合によっては余計な工数がかかり、プロジェクトの停滞を招くこともあります。

これらの状況に対応するためには、駐在員自身が一定レベル以上の英語力を持つことが必要なのです。

プライベートも不調になるリスクがある

駐在員が英語を使うのは、ビジネスの現場だけではありません。駐在先で生活するにあたって、プライベートでも同様に英語を使うことになります。

英語圏でもプライベートでの英語は高いレベルを求められない可能性はありますが、日常生活をストレスなく送るには、中学レベルの英語力で十分です。ただ、ある程度のリスニング力や発音、流ちょうさは求められるかもしれません。

仮に、このレベルの英語でさえも使えないと、現地でのスタッフとの交流を図ることもできず、結局は現地の日本人コミュニティに救いを求めることになるかもしれません。英語を使うストレスによって、ビジネスの基盤となるプライベートに不調をきたすリスクをはらんでいるのです。

海外駐在するだけでビジネス英語は話せるようにならない

「海外生活を送っているうちに、自然と英語力は磨かれる」という考え方があります。これは大きな誤解で、日常会話レベルならともかく、少なくとも海外駐在しているだけでは、ビジネス英語力は向上しません。

駐在先では、同僚に日本人のスタッフがいる場合も多くあります。人間はつい楽なほうへ流されてしまうので、日本人スタッフとばかりコミュニケーションを図ったり、ビジネス英語ができる日本人スタッフや通訳に頼ったりしてしまいがちです。

あるいは、片言の英語と勢いで乗り切ってしまおうとするかもしれません。実際にはそのレベルの英語では伝わっていなくても、周囲の配慮で何とかコミュニケーションが成立してしまうこともあります。

このような状況では、海外駐在期間が長くても、ビジネス英語力がアップすることはないでしょう。ビジネス英語力を磨きたいならば、海外駐在前における相応の準備と、現地での鍛錬が必要なのです。

ビジネス英語初心者向けの勉強法

ビジネス英語力に不安があるのに、海外駐在が決まった人は、英語をどのように勉強したらいいのでしょうか。ここでは、初心者向けのビジネス英語の勉強法についてご紹介します。

中学レベルの基礎英語力を身に付ける

英語の基礎として、まずは中学レベルの英語の復習から始めましょう。日本の英語教育では、英語の基本5文型について学びますが、この文法のおさらいから始めてください。ビジネスも含めてほとんどの会話において、中学レベルの文法で十分に対応することが可能です。
海外では文法どおりに話すことは決して多くはないものの、自分から最低限の英語表現ができるようになるはずです。

<英語の基本5文型>

  • 第1文型:S+V(主語+述語)
  • 第2文型:S+V+C(主語+述語+補語)
  • 第3文型:S+V+O(主語+述語+目的語)
  • 第4文型:S+V+O+O(主語+述語+目的語+目的語)
  • 第5文型:S+V+O+C(主語+述語+目的語+補語)

しかしながら、第4文型、第5文型を取る動詞で会話に使う動詞は限られているので、第1~3文型を使えるようになれば、かなりの幅の英語表現ができるようになります。
このほか、英会話を収録した動画を観ることで視覚や聴覚を養ったり、あるいは英語のフレーズを発声したりして覚えていきます。

リスニングを勉強する

一般的に日本人が英語において最も困るのが、相手が話している英語の内容が聞き取れないことです。英単語や英文法は高校までの学校教育で暗記しているので、英文読解はある程度できたとしても、リスニングは不得意とする人が多いのが日本人の特徴といえます。

しかし、ビジネスシーンにおいては、多くの場合、相手の英語の話を聞くことから始まります。まずは聞き取る力を身に付けることで、ビジネス英語の基盤力を作るのが正攻法といえるでしょう。

コミュニケーションスキルを学ぶ

相手が話している内容を聴き取れなくても英語コミュニケーションスキルを身に着けることで、リスニング力をサポートできる。

話の内容を確認する、聞き返すときに使えるフレーズは、「英語会議で使えるフレーズとは?具体例やオンライン会議でのポイント」を参照してください。

自分の業界で必要な英語を学ぶ

業種・職種特有の専門用語や言い回しは、どの業界でも存在します。技術職や研究職として海外駐在する場合は、業界特有の専門用語や言い回しを英語で伝えるにはどうしたらいいのか、調べたり話せたりするようにしていくのがポイントです。

専門用語が話せるようになれば、仮に母国語が異なっても、技術者・研究者同士で共通の話題ができるので、円滑なコミュニケーションが図れる可能性が高くなります。

ビジネスシーンでよく使われるフレーズを覚える

英語による会議やスタッフとの会話など、ビジネスシーンでよく使われるフレーズから覚えることも重要です。ビジネスコミュニケーションで頻繁に使われる表現は決まっていることも多く、定型的なフレーズをシチュエーション別に駆使すれば、ある程度はスムーズに会話ができます。

英語の会議で使えるフレーズの具体例は、以下の記事をご参照ください。
英語会議で使えるフレーズとは?具体例やオンライン会議でのポイント

駐在前に効果的なビジネス英語勉強法

駐在員として海外駐在する前にビジネス英語を学ぶには、大きく分けて2つの方法があります。駐在前のビジネス英語の勉強法は、下記のとおりです。

オンライン英会話

オンライン英会話は、気軽に始められることや、コストパフォーマンスの高さが大きなメリットです。予約のしやすさやキャンセル規定がフレキシブルなので、自分の生活の隙間時間を使ってPCやスマートフォンなどで英語を学ぶことができます。ネイティブスピーカーや日本人講師など、講師を選ぶこともできるサービスもあります。

ただし、ビジネス特化型のオンライン英会話でも、駐在員に求められるようなビジネス英語や専門用語が習得できないこともあるので注意が必要です。また、駐在までの限られた時間では、必要なビジネス英語力を身に付けられない可能性もあります。

ビジネス英語研修

ビジネス英語研修は、ビジネス英語に特化した企業研修のことです。外部の研修会社などが提供するビジネス英語研修は、一定のカリキュラムにもとづき、専門的な指導を受けられるのが最大のメリットです。一定の研修コストはかかるものの、プロの視点によるビジネス英語力を体得できます。また、異なる文化、習慣、コミュニケーション方法についての学びを得ることもできます。

海外駐在先で高いレベルのビジネス英語力が必要で、異文化理解まで修めたい場合には、ビジネス英語研修を受講するのが最もおすすめです。

駐在員の英語力アップならキャニング・アンド・アソシエイツへ

英語コミュニケーション力に自信がない人にとって初めての海外駐在は、不安を感じるかもしれません。しかし、事前の英語学習をしっかりと行うことで、駐在先でも取引先や現地スタッフとのコミュニケーションをスムーズに行えるようになるはず。そうすれば海外駐在経験は、自分のキャリアにおける大きなステップになるでしょう。
ビジネス英語力アップにおすすめなのが、1965年設立のキャニング・アンド・アソシエイツです。キャニング・アンド・アソシエイツは、グローバル人材の育成に関するコンサルティングやトレーニング、グローバルリーダー育成のためのコーチングなど、多岐にわたるサービスを提供しています。

またキャニング・アンド・アソシエイツでは、「Bridging the culture gap」という異文化トレーニングも実施しています。これは、異文化ゆえにビジネス習慣やコミュニケーション方法が異なることを理解し、自分のメンタルダウン対策と異文化理解の方法を学ぶトレーニングです。これは、オンライン英会話でビジネス英語を学んだだけでは身に付かないもので、キャニング・アンド・アソシエイツだからこそできる研修といえます。
今後のビジネスの成功のため、そしてサステナブルな成長のために、キャニング・アンド・アソシエイツのプロフェッショナルなサポートをぜひご検討ください。

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