AI時代にあえて「人間ならではの英語コミュニケーション」を学ぶ意義とは~グローバル人材育成のプロフェッショナル7人が語る現場のリアル~
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AIが「作業」を担う時代、その先にあるもの
以前ご紹介した『AI時代のグローバル人材育成』の第二弾をご紹介いたします。
ChatGPTやDeepLといったAIツールが英文メール作成や翻訳業務を劇的に進む中、その先でビジネスの現場において、本当に求められるグローバル人材とはどのような人物なのでしょうか。
そしてAIが「作業としての英語」を担う時代に、人間が磨くべき英語コミュニケーション力とは何でしょうか。
今回は、キャニング&アソシエーションのプロフェッショナル英語プロフェッショナル7人にアンケートを実施。現場で毎日ビジネスパーソンと向き合っているからこそ見えてくる「AI時代の人間ならではの英語コミュニケーションの価値」について、プロフェッショナルの具体的なエピソードと共にお届けします。
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INDEX
AIが変えた現場と変わらない「人間の領域」
確実に変わったこと:書くことのハードルが激減
プロフェッショナルたちの共通した意見は、書面でのコミュニケーションの劇的な効率化です。
「ほぼ全員がメール・レポート・PPT作成にAIを使っています」(Michael Jones)
「AIのおかげで英語関連の仕事のストレスが減っている」(Esarona Sapolu)
これは決して悪いことではありません。むしろ、本来のビジネス思考に集中できる時間が生まれているのです。

Michael Jones – タレント・ディベロップメント・マネージャー
異文化コミュニケーションとグローバルリーダーシップを専門とするインターナショナルファシリテーター。1995年から日本を拠点に、多国籍・多業界のビジネスパーソン5,000人以上の育成に携わる。
絶対に変わらないもの:リアルタイムの人間的やり取り
次に共通して強調していることは、「リアルタイムコミュニケーションにおいてはAIはその力を発揮できない」という現実です。
「会議やディスカッションでは反応は即時である必要があり、成功は内容だけでなく、トーン、タイミング、対人インパクトに左右される。この瞬間、決定的なのは人間の能力である」(Anthony Carver)
「AIにおいて対応できないものは『H.I.(ヒューマン・インテリジェンス)』。場の空気を読むこと、アイスブレイクで人を打ち解けさせること、その場でコーチングすること」(Stephen Parent)
印象的なエピソードとして:
「年3回、20カ国以上から集まった32名の参加者を対象に4日間のプログラムを行いますが、初対面の人々がプログラムの終わりには涙を流すほどの感情的インパクトを体験します。これはAIには到底できません」(Stephen Parent)
AIが「作業」を担うほど、人間が担うべき「判断」「対話」「信頼構築」の価値はむしろ高まっている。
——これが現場を熟知しているプロフェッショナルの一致した意見です。

Rowan MacGillivray – コンサルタント
世界的な製薬企業での豊富なトレーニング経験を基に、グローバルな視点と深い知見を兼ね備えた、人材開発のプロフェッショナル。多様な文化的背景を持つ従業員に対して実践的かつ効果的な研修を提供し、組織の学習文化醸成と生産性向上に大きく貢献。
日本人ビジネスパーソンが直面しやすい「3つの壁」
グローバルなビジネスコミュニケーションにおいて、日本人が共通してつまずく課題は、大きく次の3つです。
壁①:リアルタイムでの即応力不足
「日本のビジネスパーソンは読み書きなど準備できるコミュニケーションは得意。しかし、リアルタイムで話す・聞くという能動的コミュニケーションが最大の障害」(Stephen Parent)
「グローバル会議やプレゼンで突然の質問に答えることが最大の課題。AIに頼り慣れているため、リアルタイムの対面では適切な応答が困難」(Dwayne Gregory)
AIは「準備」をサポートできても、予測不可能な会話の流れの中で瞬時に判断し応答する能力は、実践によってしか身につかないのです。
壁②:「調和重視」と「直接的表現」のギャップ
「意見表明における過度な間接性は、グローバルな場では弱さとみなされ、メッセージが不明確になりがち。これは調和を重んじる文化的傾向に起因している」(Michael Bates)
「発言や質問には自信よりも『勇気』が必要。これはマインドセットの転換の問題で、AIでは解決できない」(Stephen Parent)
壁③:説得・交渉における影響力(インパクト)不足
「特定の個人やグループを説得する場面では、AIは汎用的なアドバイスにとどまる。そうすると経験豊富なビジネスプロフェッショナルによる指導が必要になる」(Michael Jones)
「多くの人が情報を説明することができても、説得力のあるメッセージを伝えることに苦労する場面がしばしば見受けられます。正確さを重視するあまりに伝えたい内容のインパクトが弱くなる」(Anthony Carver)
Dwayne Gregory – コンサルタント
エネルギッシュでクリエイティブなファシリテーター。
リーダーシップやダイバーシティ&インクルージョンに焦点をあてた異文化理解のトレーニングに情熱を注ぐ。
人間ならではのコミュニケーションが光った瞬間
現場をよく知るプロフェッショナルたちが実際に経験した、AIのような「正しい英語」を超えた人間らしいコミュニケーションのエピソードをご紹介します。
エピソード①:闘病中の同僚への心からのメッセージ(Michael Bates)
ある日本人エグゼクティブが、闘病中のアメリカ人同僚にメッセージを送ることになりました。翻訳ツールで作成した元の文章は文法的には完璧でしたが、どこか冷たく、「回復をお祈りしています」という不適切な表現が含まれていました。
Michaelは病気ではなくその人自身に焦点を当てること——その同僚が自分にとってどれほど大切な存在であるか、どんな影響を与えてくれたかを伝えるよう提案しました。
書き直されたメッセージに、アメリカ人の同僚は深い感謝を示してくれました。本物のつながりを届けることができた——それはどんなAIにも生成できないものだった。
エピソード②:悲しみに寄り添ったセッション(Esarona Sapolu)
死別を経験して長期間欠席していたクライアントとの再会セッション。
クライアントは、深い悲しみの中にいました。
しかしその後もセッションを打ち切ることなく、傾聴し、共感し、思いやりを持ってその場に寄り添い続けました。セッション終了時、クライアントは「話せてよかった」「気持ちが楽になった」と感謝の気持ちを伝えてくれました。AIにそれができるであろうか?
エピソード③:非ネイティブの情熱が会場を動かした(Stephen Parent)
グローバルリーダーシップワークショップで招いた各地域の経営幹部たち。彼らは英語のネイティブスピーカーではありませんでした:
「情熱とエネルギー、豊かなノンバーバルコミュニケーションを持ってスピーチし、個人的・職業的な失敗や挑戦を共有し、脆弱性、誠実さ、謙虚さをその場で表現しました。重要なのは言語の習熟度ではなく、意図・開放性・誠実さを持って伝えるコミュニケーションスキルです」
「正しい英語」よりも「人間らしさ」が相手の心を動かす——このエピソードがそれらを示しています。

Esarona Sapoul (Rona) – コンサルタント
ヨーロッパ、東南アジアおよび日本での実務経験を持つラーニングスペシャリスト。人材育成分野で15年以上、IT、物販、製薬をはじめとする幅広い業界でトレーニングを提供してきた。
AI時代にこそ鍛えるべき3つのスキル
プロフェッショナルたちが挙げた「AI時代にこそ鍛えるべきスキル」についてまとめると、以下の3つがポイントとなりました。
スキル①:リアルタイムの対話力
「自発的なスピーキング、インタラクティブなディスカッションスキル、説得力のあるスピーキングは、現時点でAIがライブの状況でサポートできない領域」(Esarona Sapolu)
会議、交渉、プレゼンのQ&A——これらはすべて、その瞬間の判断力と対話力が問われます。
スキル②:感情知性(EQ)
「感情的知性——他者への共感、インスピレーション、感情的サポート——これらは人間中心のスキルで、AIが人間の洞察を置き換えることはできない」(Michael Jones)
「効果的なフィードバックは受け取られ方に依存し、タイミング、文脈、感情的反応への配慮が必要。AIは言葉遣いの提案はできても、人間の反応を管理することはできない」(Anthony Carver)
スキル③:コミュニケーションへの責任とオーナーシップ
「もしAIにコミュニケーションを任せてAIがミスをしても、相手に『AIのせいです』とは言えませんね。コミュニケーションの責任は最終的にあなた自身にあります。グローバルビジネスプロフェッショナルは、そのように振る舞わなくてはいけないと考えます。」(Rowan MacGillivray)

Mike Bates – コンサルタント
20年以上、日本企業およびグローバル企業で、ビジネススキル/コミュニケーションスキル研修を提供。世界最大級の外資系製薬会社で10年間、社内コミュニケーション・コーチとして勤務。MBA保持。
これからのグローバル人材を目指す方、育成される方へ
グローバル人材育成担当者の皆さまへ
「AIが日常的な作業時間を削減することで、人間が他の人間とつながる時間と機会が増えます。だからこそ『H.I.(ヒューマン・インテリジェンス)』が重要です。まず人を育て、そして人がビジネスを育てるのです」(Stephen Parent)
「本当の成長は、参加者が自分の言葉で話すことや、プレッシャー下で応答することに挑戦し、感情が完全に見えて感じられるライブの人間的フィードバックを受けるときに起こります」(Esarona Sapolu)
英語を学ばれているビジネスパーソンの皆さまへ
「自分の言葉で話せないなら、その仕事はAIに置き換えられてしまうという意識を持ったほうが良いかもしれません」(Rowan MacGillivray)
AIが「作業」を担う時代だからこそ、これからのビジネスパーソン、その中でもグローバルで活躍するビジネスパーソンにおいては、「判断」「共感」「信頼構築」に注力し、語学習得だけでなく、それらのスキルを身につけていかなければなりません。
完璧な英語よりも、「この人は本気で話している」「自分の頭で考えている」という行動が、相手の記憶に残り、心を動かすという意見が、プロフェッショナルたちの共通のメッセージです。

Stephen Parent – コンサルタント
カナダの金融業界で実務経験を積み、2002年に日本へ移住。以来ビジネススキルのトレーニングに従事する。長年の経験で培われたファシリテーション技術に加え、明るさと落ち着きを兼ね備え、チームビルディングやリーダーシップ育成プログラムの依頼多数。
おわりに
AIを使いこなす人材とAIに使われる人材の分岐点とは
AIは確かに強力なツールです。しかし、7人のプロフェッショナルたちが現場から届けてくれたメッセージは一貫しています。
AIが「作業の効率化」を担う時代だからこそ、作られた言葉、表現ではなく、自分自身の言葉で、その場で、相手と向き合うことに価値があり、これからグローバルに活躍するビジネスパーソンとは「判断」「共感」「信頼構築」のスキル向上にフォーカスしていかなければならない時代なのではないでしょうか。
グローバルな舞台で本当に必要とされる人材になるために——今こそ、英会話力を身につけるだけでなく、ヒューマンインテリジェンスも含まれたビジネスコミュニケーションスキルが必要とされる時代であると言えるかもしれません。

Anthony Carver – コンサルタント
英国ロンドンでのテレビ・ラジオ制作経験を背景に、25年以上にわたり研修・コーチングを提供。日本国内の企業・組織・大学を含む150以上のクライアントを支援してきた。
キャニングでは、全世界20万人以上の支援実績に基づき、AI時代の波を乗りこなし、世界を舞台にリードするリーダーの育成を支援しています。本記事に登場した講師陣が登壇する、グローバル人材育成の研修プログラム詳細は以下よりご覧いただけます。
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貴社のグローバル人材育成のヒントとして、ぜひご活用ください。
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