人材アセスメントとは?企業が活用するメリットと導入手順を解説
2025.01.20
人材アセスメントとは、社員のスキルや適性を効果的に判断することを目的とした、第三者機関による客観的な評価手法です。さまざまな背景により注目を集めている人材アセスメントですが、活用することで企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
また、導入を検討している企業にとっては、導入においてどのような手順を踏めばいいのかが気になっているのかもしれません。
この記事では、人材アセスメントが必要とされる理由と企業が導入するメリットのほか、導入の手順について解説します。
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INDEX
人材アセスメントとは、第三者視点で人材を評価する手法のこと
人材アセスメントとは、採用や育成、配置などの人事施策を適切かつ効果的に行うため、人材のスキル・適性などを、第三者の視点から客観的に評価する手法を指します。
そもそもアセスメント(assessment)とは、「評価」「判断」といった意味を持つ言葉です。アセスメントは人材領域だけではなく、患者の状態を知る「看護アセスメント」や、大規模開発における「環境アセスメント」のように、各領域で使われています。
ちなみに、人材アセスメントと混同されがちなものに、「人事評価」があります。人材アセスメントと人事評価の最大の違いは、客観性の有無です。
人事評価は、直属の上司が社員の仕事ぶりや成果などをもとに、社員を主観的に評価します。第三者視点で客観的に評価する人材アセスメントのほうが、上司の主観的な評価よりも社員の納得感を得られる傾向があるのです。
人材アセスメントが今必要とされる理由
人材アセスメントは今、多くの企業の注目を集めていますが、それにはどのような理由があるのでしょうか。ここでは、人材アセスメントが必要とされる理由について解説します。
終身雇用・年功序列など雇用形態の変化
人材アセスメントが必要とされる理由に、雇用形態の変化があります。
これまでの日系企業は、終身雇用・年功序列を前提として成立していました。しかし、社員の転職が珍しくなくなったことや、グローバル化の波が押し寄せたことによって旧来の雇用形態は崩れ始め、人材の流動性は増す一方となっています。
このため、勤続年数や年齢などで社員を管理・評価することが、難しくなっているのです。
ダイバーシティ&インクルージョンへの適応
日系企業でダイバーシティ&インクルージョンへの適応が必要となっている現状も、人材アセスメントに対するニーズが高まっている理由に挙げられます。
少子高齢化やグローバル化が進む昨今では、性別や国籍などを問わず、多様な人材を活用しなければ、企業として立ち行かなくなります。多様な背景を持つ人材を適正に評価するために、人材アセスメントのような客観的な手法が求められているのです。
多様な働き方とリテンションマネジメント
近年の働き方は、リモートワークやフレックスタイムの普及、男性育休(産後パパ育休)の取得推進などにより、大きく変化しています。従来のような定時出社や残業を前提とした人材評価では、もはや正確な判断は困難といえるでしょう。一方で、リテンションマネジメント(人材の流出防止)の観点から、さまざまな働き方に対する中立公正な評価手法の確立が求められます。
これらの理由から、第三者による客観的な評価手法が望まれているのです。
人材アセスメントの種類
人材アセスメントにはいくつかの手法があり、適切なものを選ぶ必要があります。ここでは、人材アセスメントの種類について解説します。
能力適性検査
能力適性検査は、社員の資質・性格やスキルのほか、興味・関心などを評価する人材アセスメントの手法です。主に、人材の採用や配置転換、昇進・昇格などを判断するシーンで使われています。
能力適性検査では、回答者にマークシート式や記述式のテストを受けてもらい、その回答結果を定量的に分析し、社員の適性や潜在的なスキルなどを判断可能です。
360度評価(多面評価)
360度評価(多面評価)は、上司だけでなく同僚や部下など、さまざまな立場の複数の社員が、1人の社員を評価する人材アセスメントの手法です。その社員の人物像や姿勢・行動について、上司のみの評価だと主観的になりがちなところを、360度評価なら客観的な評価が可能となるでしょう。
評価された社員は、自己評価と周囲からの評価との乖離に気づくことができます。人材アセスメントは、社員の行動変容を促すのに役立つのです。
アセスメント研修
アセスメント研修とは、主にリーダーやリーダー候補者などを対象とした評価手法です。アセスメント研修は、実際の業務上のあるシチュエーションを設定した上で、社員の思考や行動を観察する「シミュレーション」や「ロールプレイング」の形式で行うのが一般的です。
なお、アセスメント研修は、専門の外部機関に委託することが多く、研修において社員の思考・行動を評価するのは、自社の社員ではなく外部のアセッサー(評価者)となります。
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人材アセスメントを活用する企業のメリット
人材アセスメントを活用することで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。続いては、人材アセスメントを活用する企業のメリットについて解説します。
自社に合った人材を採用しやすくなる
人材アセスメントのメリットに、自社に合った人材を採用しやすくなることが挙げられるでしょう。企業と人材の双方のニーズが合わないまま採用すると、採用後に企業が抱いていた期待値を下回ったり、当該人材が思うように力を発揮できなかったりして、結果として早期離職になりかねません。
しかし、人材アセスメントのデータを活用すれば、自社の業務内容や社風に合った人材を採用できるためミスマッチが減り、離職防止につながります。
組織のリーダーなどの人材配置が適切に行える
人材アセスメントのメリットに、適材適所な人材配置の実現が挙げられます。マネジメントスキルが求められる組織のリーダーへの昇進においては、潜在的な能力を可視化する人材アセスメントが効果を発揮します。
ンアップが期待できたりするでしょう。それは結果として、企業や部署の生産性向上につながります。
適切で効果的な人材育成計画を立てられる
企業が適切で効果的な人材育成計画を立てられるのも、人材アセスメントのメリットといえるでしょう。これは、人材アセスメントによって可視化されたデータを分析・活用することで、社員一人ひとりの適性やスキルを把握できるからです。
社員それぞれにマッチした人材育成を行えることで、結果的に企業や部署としてのパフォーマンスアップにつながります。
定着率向上が期待できる
人材アセスメントのメリットとして、社員の定着率向上も挙げられます。これは、人材アセスメントによる評価の適正化・公平化が社員の心理的安全性を高め、組織に対するエンゲージメントを高めるのが理由です。
また、客観的な人材アセスメントのデータによって適切な人材配置や昇進・昇格が行われれば、社員の不満は生じにくくなり、評価に対する納得感も高くなります。
人材アセスメントの導入手順
人材アセスメントの導入に関しては、いくつかの手順を踏む必要があります。ここでは、人材アセスメントを導入する手順について、詳しく見ていきましょう。
1. 導入目的と用途を明確にする
人材アセスメントをなぜ導入するのか、どのような課題を解決したいのかを明確に定義しましょう。目的や用途を明確にしないまま人材アセスメントを導入しても、意味がありません。まずは、「適切な人材をリーダーに育成し、昇格させたい」「社員の離職率を低下させたい」といった課題を洗い出す必要があります。
人材アセスメントは、あくまで人材領域における課題解決の手段なので、導入を目的化しないように注意してください。
2. 測定対象を設定する
次に、人材アセスメントで測定したい社員の適性やスキルを設定します。測定の対象が曖昧だと、人材アセスメントの手法を適切に選ぶことができなくなるからです。
ただし、測定対象や測定項目が多すぎると、かえって評価や判断が難しくなることもあります。人材領域で解決したい課題から逆算し、適切な測定対象に絞って設定してください。
3. 人材アセスメントの手法を選定する
目的が明確になり、測定対象が設定できたら、それらを実現する人材アセスメントの手法を選びましょう。仮に、「新卒採用後のミスマッチと早期離職を減らしたい」という課題を抱えているのであれば、能力適性検査を導入するのがおすすめです。
また、「マネジメント適性を多角的に判断したい」というニーズであれば、外部機関によるアセスメント研修が効果的といえるでしょう。
4. 結果を分析し、人事施策へ反映する
続いて、人材アセスメントによって得たデータを分析します。可視化された人材の適性やスキルをチェックし、人材の採用や育成、昇進・昇格などの施策に活用しましょう。その判断によって、組織や部署にどのような利益をもたらすかという視点が重要です。
なお、人材アセスメントの結果は、あくまで評価指標のひとつと考える必要があります。アセスメントの結果のみで評価・判断しないようにしてください。
5. モニタリングを行い、継続的に実施する
人材アセスメントは、一度実施して終了ではありません。人材の配置転換や人事異動の結果をモニタリングし、振り返る必要があります。
また、組織や人材の状況は、時間とともに変わります。人材アセスメントは、継続的に実施して社員にフィードバックし、行動変容を促すようにしてください。
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人材アセスメントは、社員の適性やスキルを客観的に評価できる第三者視点の手法です。採用のミスマッチ解消や適切な人材配置計画のベースとなるほか、リーダーの育成にも効果を発揮します。
ただし、人材アセスメントを単独で行うことは困難です。人材の採用面で課題を抱えていたり、適切な人材をリーダーに育成し、さらにパフォーマンスを高めたりしたいと考えている場合は、ノウハウを豊富に持ち、信頼できる外部パートナーが必要といえるでしょう。
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